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「CP-8001」ついに完成お披露目

2019/02/13 20:14:46 | 起重機船_日本 | コメント:0件

CP-8001完成お披露目




「CP-8001」ついに完成お披露目


 2019年2月5日に横浜で関係者向けの見学会が開かれたそうです。早く現場で活躍する姿を見たい気がしますが、初仕事をどこでどんな作業をするかは不明です。大抵、初めての現場はスムーズにいかないですけどね。習熟訓練をされてるようなので、大丈夫かもしれませんが。

 「CP-8001」は基本設計をオランダのガストMSC社が担当し、JMU(ジャパンマリンユナイテッド)が建造しています。一方、㈱大林組と東亜建設工業㈱が共同で建造を進めているSEP型起重機船はJMUが基本設計から建造までを行うそうです。2020年10月完成予定。

 日刊建設工業新聞の記事を読むと気になる情報がいくつかありましたので紹介。

引用

 五洋建設は5日、建造を終えたSEP(自己昇降式作業台)型多目的起重機船「CP-8001」の関係者向けの見学会を、横浜市磯子区で開いた。800トンつりという大型クレーンを搭載したSEP船で、海象条件が厳しい海域でも安全で高精度なクレーン作業が可能となる。10メガワット級の発電風車の設置にも対応でき、外洋で行う大型洋上風力発電建造プロジェクトを受注する足掛かりとなる。
 世界最新鋭の連続式油圧ジャッキシステムや、高精度に船の位置が保持できる自動船位保持装置(ダイナミック・ポジショニング・システム)、作業効率の高い全旋回クレーンなどを導入した。10メートル程度の波が来ても問題ないため、「作業効率が圧倒的に上がる」(土木部門洋上風力プロジェクト・チーム)としている。最大120人収容の居住設備やヘリポートも備えている。同社が保有する自航式多目的起重機船「CP-5001」との併用で、長期間の作業も可能となる。
 基本設計はオランダのグストMSCが、建造はジャパンマリンユナイテッド(横浜市西区、千葉光太郎社長)が担当した。見学会はジャパンマリンユナイテッドの横浜事業所磯子工場で開かれ、発注者や電力会社、建設会社、メーカー、コンサルタントなど約700人が参加した。

引用元:日刊建設工業新聞[2019年2月6日1面]




10メガワット級の発電風車の設置にも対応


 10MW級とはどんな大きさなのか?

引用

CP-8001完成お披露目-2

引用元:焦点:欧州風力発電、生き残り賭けた「超巨大風車」



 8MW級よりも最高到達点が100m程度高くなってます。ハブの高さは200m近くありますね。

 「CP-8001」は10MW級の風車設置にも対応とありますが、現状のブーム長は100m程度なので掲載されている大きさの10MW風車は思いっ切りジャッキアップしても組立は無理ですね。ですが、タービンの効率などは日々進歩しているので、8MW級の風車サイズで10MW級の出力の風車が想定されているのでしょう。たぶん。


10メートル程度の波が来ても問題ない



CP-8001完成お披露目-3

引用
 10メートル程度の波が来ても問題ないため、「作業効率が圧倒的に上がる」

引用元:日刊建設工業新聞[2019年2月6日1面]



 波高10mでは作業中止にならない。これは逆に恐ろしいですね。海上が10mの波高ということは、まず、帰ろうにもボートは航行不可でしょう。そして、結構な風も吹いているでしょうから、ヘリもアウト。作業員の方はSEP上に取り残されてしまうことになります。休工にしてもしょうがないから、作業するか、みたいなことか!?

 いずれにしても、日本の海上で作業する場合は、保安庁など、関係各所に工事申請をするでしょうから、その時点で作業中止基準波高15m以上とか記載してると、「えっ?」ってなりそうな気がするんですが。で、結局、荒天時は作業中止になってしまうのではないでしょうか。

 お披露目の時の説明だから、SEPは10m程度の波高でも安全なんですよ、というアピールだと思いますが。どちらにしても、通常の起重機船に比べれば作業効率が圧倒的に上がりそうなのは事実だと思いますので。


日本の洋上風力発電計画



 「CP-8001」を建造した五洋建設㈱は早くも2隻目の自己昇降式起重機船の建造を検討しているようですが、果たしてそこまでの需要があるのでしょうか?

 少し古いですが、2018年2月開催の経産省・審議会資料によると、洋上風力発電の導入量は2万kW(20MW)しかないとのこと。設置基数を数えても6基しかありません。浮体式だけ数えるとですけどね。着底式は最大でも2MW/基程度ですが実証実験・調査がもっと行われています。

 それに対して、環境アセスメント手続き中の案件は430万kW(4,300MW)にのぼるそうです。確かに、今後の需要はありそう。

引用

CP-8001完成お披露目-4

引用元:経産省 審議会資料:第3回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会




 ここで問題になるのが採算性。現在の洋上風力発電におけるFIT価格は38.8円/kWh。採算性をより確保しようとすると、設置費用を抑える必要があり、その為には建設期間を短縮してコスト低減を図ることが必須になる。そこで自己昇降式起重機船を建造して工程短縮、コスト削減。

 日本では初ですが、ヨーロッパでは年間2,000MW~3,000MWの洋上風車が建設されているので、自己昇降式起重機船も豊富にいてガンガン洋上風車立ててます。少し昔の日本と東南アジア諸国の関係に似ていますね。結局、ヨーロッパの真似してるみたいですが、日本で最初に建造した五洋建設㈱はスゴイんじゃないでしょうか。

CP-8001完成お披露目-5


FIT価格とは?



 FIT価格とは、固定価格買い取り制度(Feed-in Tariff,)のことで、エネルギーの買い取り価格を法律で定める方式の助成制度。固定価格制度、フィードイン・タリフ制度、電力買い取り補償制などとも呼ばれる。

 地球温暖化への対策やエネルギー源の確保、環境汚染への対処などの一環として、主に再生可能エネルギー(もしくは、日本における新エネルギー)の普及拡大と価格低減の目的で用いられる。設備導入時に一定期間の助成水準が法的に保証されるほか、生産コストの変化や技術の発達段階に応じて助成水準を柔軟に調節できる制度である。適切に運用した場合は費用当たりの普及促進効果が最も高くなるとされる。世界50カ国以上で用いられ、再生可能エネルギーの助成政策としては一般的な手法となっている。その一方、買い取り価格の設定次第で過大な設置や利用家庭の負担が増大する危険性がある。



中国の洋上風力発電



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 中国も洋上風力発電への取り組みが活発で、自己昇降式起重機船をどんどん建造しています。結構、発想力が豊かというか奇抜というか、アイデア満載の船や施工方法をよく見かけます。

 最近の記事で気になるものは、洋上風力発電設備設置の工程が最短記録を更新しました!!という記事。

 上海臨港洋上風力発電(1期)プロジェクトと呼ばれる工事で、4MWの着底式風車を25基建設したそうです。2018年5月8日に着工して、238日後と記載されているので、2019年1月1日に完成したみたい。グーグル翻訳頼みなので微妙ですが、有効建設日数は168日(これは実稼働日数のことだと思います)。これが中国国内での施工最速記録を更新らしい。

 これが、早いのか遅いのか普通なのか、私には判別できませんが、建造中の画像を見ると、起重機船でギリギリ地組した全体を吊れる大きさだったり、全体吊して尚且つ揚程を確保できる吊冶具が使用されていたりと、なかなかに考えられている気がします。大組したものを一括で据付するほうが工程的にも金額的にも有効ですよね。

上海臨港洋上風力発電(1期)プロジェクトの画像



起工式の様子
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支持杭の打設
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支持杭の打設。近景。73まで数字が見えます。
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支持杭打設完了。斜杭8本の構成。
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生コン打設。中国にもミキサー船いるんですね。
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大組された風車登場。この状態で台風来たらやばそう。
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風車へ玉掛け。吊冶具を置いてる架台もでかいです。固縛用も兼ねてそう。
この起重機船は「四航奋进号」2,600t吊。Crane Vesselsにも掲載してます。
リンク先:Crane Vessels [四航奋进号_2,600t吊]
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別アングルでの吊上げの様子
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施工最速だから夜間もやってるのか、吊上げた状態で日の出を待っているのかは不明
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搭載後に吊冶具回収
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25基目搭載完了で記念撮影
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