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有人潜水調査船「しんかい6500」

2019/11/16 16:29:32 | 船舶 | コメント:0件

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 地球上の海で最も深い場所をご存知ですか?

 日本の南、北西太平洋のマリアナ諸島の東、北緯11度21分、東経142度12分に位置するマリアナ海溝。そのマリアナ海溝の中で最も深い場所、チャレンジャー海淵(かいえん)。

 ”宇宙よりも遠い場所”とされています。

 深さについてはいくつかの計測結果があるようですが、水深10920 m±10 mとされています。とんでもなく深いです。未知の世界があると行ってみたくなるのが人類の性なんですかね。

 日本の「しんかい6500」という有人潜水調査船は地球の海の最深部に辿り着くことはできませんが、いつか日本の技術力で到達する日が来ることでしょう。

 「しんかい6500」は名前の通り深度6,500mまで潜ることが出来る潜水調査船。なんと”有人”潜水調査船なので中に人が入った状態で深海に潜ることができます。これはなかなかに恐ろしいですね。
 基本的に潜水速度は毎分45mだそうです。なので6,500mだと約2時間30分。6,500mまで行ってしまうとすぐには浮上できないのでパニックになってしまいそうです。乗船するにはかなりの精神力が必要ですね。尊敬します。
 11月19日(火)10時30分~NHKで「潜水調査船・しんかい6500」が放送予定なので、興味ある方はどうぞ。
 やっぱり世界レベルが気になるので、世界の有人潜水調査艇についても調べてみました。



1.有人潜水調査船「しんかい6500」の概要



しんかい6500-1

 「しんかい6500」を所有しているJAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)に詳細が載っていますので紹介。
 人が乗る部分はチタン合金製耐圧殻と呼ばれる直径2mの球体。厚みは73.5㎜あり、約68MPaの水圧にも耐えられるようです。さらに、耐圧性能を高める為、真球に近い形状で製作されており、真球度は1.004、外径は±2mm以下という製作精度で製造されています。
 ちなみに、68Mpaという圧力は1平方センチメートルあたり約680kgという水圧がかかっています。手のひらでだいたい10㎝×10㎝=100㎝2なので680kg×100㎝2=68,000kg=68tというとんでもない水圧です。


有人潜水調査船「しんかい6500」

「しんかい6500」は、深度6,500mまで潜ることができる潜水調査船です。1989年に完成し、日本近海に限らず、太平洋、大西洋、インド洋等で、海底の地形や地質、深海生物などの調査を行い、2017年には通算1500回目の潜航を達成しました。現在運航中の大深度まで潜ることのできる有人潜水調査船は、世界でも7隻しかありません。その中で「しんかい6500」は、日本のみならず世界の深海調査研究の中核を担う重要な役割を果たしています。

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しんかい6500-5

しんかい6500-6

引用元:JAMSTEC | 有人潜水調査船「しんかい6500」



2.支援母船「よこすか」の概要



よこすか-1

よこすか-2

 「しんかい6500」は調査海域まで航行することが出来ないので、当然ながら船に搭載された状態で現場まで運搬してもらう船が必要になります。その支援を行うのが支援母船「よこすか」のようです。運搬はもちろんですが、格納庫があったり、整備もできるそうです。現場海域で進水するためのクレーンもあり、「しんかい6500」が潜水して調査しているときの通信に使用する水中通話機もあります。
 搭載されている水中通話機とは音波を使ったものだそうです。一般的に空気中の音速は約331m/sですが、水中になると約5倍の1500m/sになるそうです。なので「よこすか」の船上から6500m下の海底にいる「しんかい6500」へ呼びかけた声は届くまでに約4秒かかることになります。テレビで見る衛星中継のようなもどかしい感じになってそうですね。



深海潜水調査船支援母船「よこすか」

 支援母船「よこすか」は、最大潜航深度6500mの能力を持つ世界最高水準の大深度潜水調査船「しんかい6500」の支援母船として深海底の調査を行います。
 他にも深海底表層・断層地形や地質構造を解明するための様々な機能を持ち、深海・海溝域の総合的な調査観測研究を行うことができます。

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引用元:JAMSTEC | 深海潜水調査船支援母船「よこすか」



3.有人潜水調査船「しんかい6500」の深海調査



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支援母船「よこすか」に搭載された状態で調査海域へ移動
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クレーンで重量26.7tの「しんかい6500」を進水。
この進水・揚収作業は結構危険です。穏やかな海なら大丈夫なんでしょうけど。
他の潜水艇ですが荒天の中、進水を強行して破損し、調査中止ということもあるそうです。
この下に着水・揚収作業動画のリンク先を張り付けてますので興味ある方は、それもどうぞ。
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潜航前。バラストタンクは空っぽです。
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バラストタンクに注水して潜航開始。
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毎分45mの速度で下降。6500mだと約2時間30分。
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ウェイト半分を切り離し。
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スラスタで下降して着底。
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補助タンク内を排水して探索。
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サンプリングすることもできます。
2つあるサンプルバスケットへは1つで100kgまで持ち帰り可能。
ただし、両方合わせて150kgまでが限界。
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帰りも2時間30分かけて上昇。
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バラストタンクを排水して浮力を確保。
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クレーンで揚収。調査完了
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動画のリンク先:YouTube | 「しんかい6500」海底調査の1日

動画のリンク先:YouTube | 「しんかい6500」インド洋での着揚収の様子

4.NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 予告



11月19日(火)午後10時30分~ 午後11時20分 NHKで「潜水調査船・しんかい6500」が放送予定。

今は予告動画も見ることが出来ます。放送後は無くなると思いますが。


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この夏、しんかい6500(通称・6K)が向かったのは、小笠原諸島の北西に位置する海底火山。海深くに潜り、希少生物のアルビンガイを探し、謎に包まれた生態を解明する。番組では、9日間の航海に密着。1989年の誕生以来、世界を驚かせてきた有人潜水調査船の“流儀”に迫る。私たちの知らない深海へ、大冒険が始まる。

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引用元:NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 | 「潜水調査船・しんかい6500」




5.世界の潜水調査船



 6,500mという深さまで潜水できる「しんかい6500」もすごいですが、やっぱり世界にはさらに上をいく潜水調査船が存在してました。
 潜水深度で順位を付けると「しんかい6500」は世界6位。



Deep-submergence_vehicle-1.png

引用元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | Deep-submergence vehicle




「Deepsea Challenger」潜水深度10,908m



Deepsea_Challenger-1.jpg

Deepsea_Challenger-2.jpg

 オーストラリアの有人潜水調査艇。2012年建造。
 記録としては、2012年3月26日にマリアナ海溝のチャレンジャー海淵の水深10,898.4メートル (35,756 ft) のDeepsea Challenger海底に着底した。
 この潜水中に記録された最大深度は10,908メートル(35,787フィート)。
 なんと、この記録達成時「Deepsea Challenger」に一人で搭乗し(1人乗りなので一人しか乗れませんが)潜行したのは、カナダ人の映画監督ジェームズ・キャメロン。名前見ると何となく知ってるなぁと思い、調べてみると「ターミネーター」、「エイリアン2」「タイタニック」などの監督、脚本を手掛けた超有名人でした。



Deepsea_Challenger-3.jpg

引用元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | ディープシーチャレンジャー



 ジェームズ・キャメロン監督。
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「Bathyscaphe Trieste」潜水深度10,911m



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 スイスの物理学者により設計され、1953年にイタリアで建造、1958年にアメリカ海軍により買い上げられた経緯がある有人潜水調査艇。
 記録は1960年1月23日、マリアナ海溝南部の最深域チャレンジャー海淵の海底に到達。地球上で最も深い海底に達した最初の潜水艇。その時の計器は11,521メートルを示していたが後に10,916メートルに訂正され、さらに、1995年に「かいこう」によってチャレンジャー海淵のより精確な深度値はわずかに浅く10,911メートルであることが判明した。



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引用元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | トリエステ (潜水艇)



「DSV Limiting Factor」潜水深度10,928m



DSV_Limiting_Factor.jpg

 人類の最深部到達記録はつい半年ほど前に更新されたようです。私は知りませんでした。
 記録は2019年4月28日、人類として4人目のマリアナ海溝最深部、チャレンジャー海淵に到達したのはアメリカの探検家ヴィクター・ヴェスコーヴォ。この時の到達深度は10,928m。
 ちなみに、このヴィクター・ヴェスコーヴォという方、世界5大洋の最深部に単独潜航という偉業を達成しています。
 マリアナ海溝チャレンジャー海淵 10,928m
 北極海 5,550m
 プエルトリコ海溝 8,376m
 ジャワ海溝 7,192m
 南極海サウスサンドウィッチ海溝 7,434m

ヴィクター・ヴェスコーヴォ氏
Victor_Vescovo.jpg

6.「しんかい12000」建造計画



 「しんかい6500」が建造されて30年、深海調査の国際競争が激しくなったことや開発技術の継承などの懸念がある中で、水深1万2000mまで潜航可能な次世代船の構想が進められているそうです。
 2014年3月、日本学術会議が建造費を300億円(または500億円)と試算し、2023年に向けての政府に運用開始を提言したが、予算措置は講じられていないとのこと。海洋研究開発機構は2020年代後半の完成を目指しているそうです。是非とも頑張って頂きたい。
 下の画像のように、前側の耐圧殻は強化ガラス耐圧球を採用して視界を広げるという案があるそうです。画期的。



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引用元:JAMSTEC | 広報誌 Blue Earth 第26巻 第6号(通巻134号)


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