プロフィール

skymates

Author:skymates
フナフナブログへようこそ!
身の回りの気になる事から世界の注目記事まで海・船舶・土木関係を中心に記事を作成していますのでご覧あれ!!

スポンサーリンク
人気ページランキング
お問い合わせフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

世界の大型バイブロハンマ、油圧ハンマ

2019/06/07 16:37:56 | 建設機械 | コメント:0件

 建設工事の現場で使用される重機とか機械って大きなものが多いですが、世界最大となるとどの程度なのか、調べました。ただそれだけです。
 写真とか映像でも大きさは伝わってきますが、現物見ると驚愕だと思います。とりあえず、洋上風力建設工事でも使用されそうな、バイブロハンマと油圧ハンマについて調べてみました。



世界の大型バイブロハンマ



 まず最初に、バイブロハンマとは何か。土木工事に携わる方ならご存知かと思いますが、鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板、H鋼などを地盤に打ち込んだり、引き抜いたりするための機械のことです。


引用

 バイブロハンマとは、対を成す偏心重錘を同位相で逆回転させることにより上下方向の力(起振力)を発生し、これを把持装置を介し杭や矢板に伝えて上下振動させ、根入れ地盤の抵抗を低減することにより杭や矢板の打込み・引抜きを行う装置です。

引用元:バイブロハンマ工法技術研究会 - バイブロハンマとは



 洋上風車でも着底式のものは、モノパイルと呼ばれる大口径の杭を設置するために使用されてます。日本でバイブロハンマを使用してモノパイルを打ち込んだことがあるかどうかは分かりませんが。ネット上で見かけるのは油圧ハンマを使用して、杭を設置しているものが多いです。

 設置だけなら油圧ハンマで施工できますが、撤去する時はバイブロハンマが必要になります。打設時もバイブロハンマなら引き抜くことが可能なので、杭の立ちや位置を施工しながら調整することが可能です。ただ、支持力の確認となると、一般的なのは油圧ハンマによる打撃エネルギーから算出する方法ですね。


「PVE 500M」



 オランダのバイブロハンマ「PVE 500M」。スペックは以下の通り。比較のために後で紹介するバイブロハンマのスペックも併記。

名称PVE 500MCV-320 VLT-UEP1600L320ⅡMR
メーカーPVECAPE Holland上海振中建机科技有限公司調和工業㈱
国名オランダオランダ中国日本
偏心モーメント4,904 N・m3,138 N・m10,983 N・m3,629 N・m
起振力1,209 t699 t700 t203 t
全体質量42.22 t88.00 t135.00 t41.95 t
最大引張荷重255 t500 t360 t120 t
長さ5.165m6.600m4.050m3.500m
1.270m2.700m4.340m1.830m
高さ3.590m7.100m6.050m6.055m


 大口径の杭を打設してる「PVE 500M」動画を紹介。
 「S-1200」の油圧ハンマも登場します。

 この杭、直径 4.3m、長さ 21m、重量94t
PVE_500M-1

 ガイド的なものに建込
PVE_500M-2

 「PVE 500M」登場
PVE_500M-3

 そして打設。すごいスピードで入っていきます。動画でご確認を。
PVE_500M-4

 多分比較の為、「S-1200」登場
PVE_500M-5

 あっという間に所定の深さまで入りました
PVE_500M-6




着底式養生風車の撤去作業。
大口径の杭を引抜する「PVE 500M」動画を紹介。
定点動画で見るとなかなかおもしろいです。

 撤去する風車。300t吊起重機船使用。
PVE_500M-7

 羽根とナセルを撤去。
PVE_500M-8

 タワー部分を2分割で撤去。
PVE_500M-9

 「PVE 500M」登場。天気いいです。
 杭は直径3.7m、長さ27m、重量84t
PVE_500M-10

 船首が浸かりそうなので、相当荷重を掛けてるのかも
PVE_500M-11

 ある程度抜けたら、素抜。
PVE_500M-12

 積み込んで完了
PVE_500M-13




「CV-320 VLT-U」


 これまたオランダのバイブロハンマ。「CV-320 VLT-U」。スペックを確認する

 CAPE Hollandのホームページを見ると「CV-320 VLT-U Tandem」、「CV-320 VLT-U Quad」という2連、4連にバイブロハンマを組み合わせたスペックが記載されてます。

名称CV-320 VLT-U SingleCV-320 VLT-U Quad
メーカーCAPE HollandCAPE Holland
国名オランダオランダ
偏心モーメント3,138 N・m12,553 N・m
起振力699 t2,795 t
全体質量88.00 t385.00 t
最大引張荷重500 t2,000 t
長さ6.600m7.600m
2.700m7.600m
高さ7.100m7.900m


 「CV-320 VLT-U Quad」スペックがおよそSingleの4倍になっているので、これが世界最大なのかも。

201906071604178ed.png

 よく日本のバイブロ呼称として25000とか30000と呼ぶ場合がありますが、これは偏心モーメントの数値を指しています。現在は N・m で表記される場合が多いですが、少し前は kg・cm で表記されていました。

 この「CV-320 VLT-U Single」の偏心モーメントは 32,000kg・cm。「CV-320 VLT-U Quad」は 128,000kg・cm というとんでもない数字です。
 
  「CV-320 VLT-U Single」動画の紹介。こちらの動画も試験施工的なものです。大口径の杭を打設して7ヶ月後に引き抜くといったもの。

 使用している起重機船は1,800t吊「MATADOR 3」


 今回使用する杭を自分で吊運搬
CV-320_VLT-U-1.jpg

 施工場所に到着
CV-320_VLT-U-2.jpg

 「CV-320 VLT-U Single」に玉掛け
CV-320_VLT-U-3.jpg

 杭を建て起こし
CV-320_VLT-U-4.jpg

 いざ、打設
CV-320_VLT-U-5.jpg

 そして、7ヶ月の時が経ち
CV-320_VLT-U-6.jpg

 再度、1,800t吊「MATADOR 3」登場
 バイブロハンマセット
CV-320_VLT-U-7.jpg


 引抜。すんなり抜けました
CV-320_VLT-U-8.jpg

 引抜完了
CV-320_VLT-U-9.jpg




「EP1600L」


 こちらは中国のバイブロハンマ。「EP1600L」。スペックを確認する

EP1600L.jpg

 アジアの中で大きいものと言えば中国かなと思い、検索すると見つかりました。他にも大きなものがありましたが、詳細不明すぎて調べるのやめました。

「320ⅡMR」


 日本のバイブロ。「320ⅡMR」。スペックを確認する

320_2_MR.jpg

 なかなか日本のバイブロハンマも大きいです。偏心モーメントもオランダ勢と同等くらいですが、引張荷重が少ないですね。半分程度しかありません。構造的に限界があるのでしょうか。それとも安全率が異なるとかなのか。よく分かりません。

世界の大型油圧ハンマ



 次に、世界の大型油圧ハンマ。日本の工事現場で見かけるのは日本車両かIHCの油圧ハンマくらいです。他はあまり見たことありませんね。

 なので、その2社とMENCKで大型油圧ハンマについて調べてみました。
 

「NH-150B」



 日本の油圧ハンマ。「NH-150B」。スペックは以下の通り。名称の数字はラム重量。

名称NH-150BS-4000MHU3500S
メーカー日本車輌製造株式会社IHCMENCK
国名日本オランダドイツ
最大打撃エネルギー235kN・m4,000kN・m3,500kN・m
ラム重量15.0 t t175 t
総質量33.50 t t423 t
適用パイル径最大2,000mmmmmm
長さ8.420mm24.700m
外径1.900mm2.743m


 後で紹介するIHCの油圧ハンマについても併記しましたが、最大のもので比較すると、圧倒的に負けてます。日本ではこのサイズで十分事足りるのでしょう。需要があまり無いんでしょうね。

 

「S-4000」



 「S-280」とか「S-500」くらいまでは知っていましたが、まさかの「S-4000」。スペックを確認する

 名前だけでも驚きですが、とんでもなく巨大です。あとで動画がありますが、組み立てるだけで大仕事。

 ちなみに名称の数字は打撃エネルギー。


 「S-4000」動画の紹介。「S-4000」を組み立ててるだけの動画ですが、ものが巨大だから大変そうです。

 使用している起重機船は400t吊「MATADOR」 と 400t吊「MATADOR 2」


 400t吊起重機船2隻使用
S-4000-1.jpg

 本体部分を吊り上げて建て起こし用の車両に搭載
S-4000-2.jpg

 相吊用の天秤。SWL800/900の数字が見えます
S-4000-3.jpg

 巻き上げながら車両を移動させて建て起こし
S-4000-4.jpg

 本体部分建て起こし完了
S-4000-5.jpg

 台船を入れるため少し後退
S-4000-6.jpg

 スリーブを乗せた台船登場
S-4000-7.jpg

 接続作業。手摺なんて不要。日本だとどうなんでしょうね。このほうが安全なのは間違いありませんが。手摺あったら逆に挟まれちゃう。
S-4000-8.jpg

 やっと完成。この状態で現場に持っていくんでしょうね。
S-4000-9.jpg




「MHU3500S」



 ドイツの油圧ハンマ。「MHU3500S」。スペックを確認する

 こちらの紹介動画はモノパイル打設ですが、使用している起重機船が少し変わった形の 8,700t吊「Svanen」 を使用してます。


 打設するモノパイル
MHU3500S-1.jpg

 使用する起重機船 8,700t吊「Svanen」
MHU3500S-2.jpg

 杭は浮かべた状態で曳航してます
MHU3500S-3.jpg

 建て起こして保持する装置に固定
MHU3500S-4.jpg

 いざ、打設開始
MHU3500S-5.jpg

 打設完了
MHU3500S-6.jpg

 トランジションピースを水切り
MHU3500S-7.jpg

 設置。展張しているアンカーワイヤーが見えます
MHU3500S-8.jpg

 無事に設置完了
MHU3500S-9.jpg

 設置完了
MHU3500S-10.jpg


Construction of the Burbo Bank Extension Offshore Wind Farm from Van Oord on Vimeo.




スポンサーサイト




コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する