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起重機船七不思議 第壱話

2021/04/16 21:52:19 | 起重機船七不思議 | コメント:0件

 起重機船について、よく知らない時に不思議に感じたことをあげてみました。

 たまたま海に行って起重機船を見かけることなんてそうそう無いと思いますが、最近は作業中の様子が動画でも上がっていたりするので興味がある方は見る機会がよくあるかもしれません。

 余談ですが、日本の建設会社もYoutubeとかで作業の様子を動画で積極的に上げれば良いと思うのですが、どうでしょうか?

 動画を見た人がその会社を知ることが出来ますし、新入社員の方も多く入って来そうな気がするんですが。

 何より収入源になる。

 でも、現場で動画を撮影することが難しいんでしょうけど。

 少し脱線しましたが、本題へ。

 ただ見ているだけでは分からないことが多いと思うので、少しでも起重機船を知る手助けになればいいなという気持ちで作成しています。

 7つの題材を1つずつ紹介していきます。週一くらいで更新できればと思っていますが。。。無理かも。

 間違えていたり、補足がある場合はご指摘いただけると嬉しいです。小生も知らないことが多いので。

 今回取り上げた7つの他にも気になることがあればコメント頂ければ。

 最初の題材は”重たい物をどうやって吊上げてるの?”




1.重たい物をどうやって吊上げてるの?



 この根本的な不思議について。

 見た目ではいとも簡単に重たい物を吊上げているように見えますが、そこにはとんでもない力がかかっています。

 いくつかの要素を組み合わせて重たい物を吊上げているので、確認してみましょう。

 日本最大の起重機船「海翔」を例に。

 最大吊上げ荷重4,100t。

 吊上げるためのフックが4フックあるので1つのフックで

 4,100t ÷ 4フック = 1,025t まで吊上げることが出来ます。

 これがまず1点目。

起重機船七不思議1-10

 単純なことのようですが、フックの数を増やすことで吊上げ荷重を分散することが出来ます。

起重機船七不思議1-11

 逆に言うと、吊荷が左右非対称でフックに偏荷重が掛かる場合、

 吊荷重量全体が2,000tであっても1フックに1,025t以上の荷重が掛かると吊上げることが出来なくなります。

 起重機船七不思議1-12


2.「海翔」一般公開の様子



 2006年7月16日に行われた一般公開の様子を引用。



起重機船七不思議1-01

起重機船七不思議1-02

起重機船七不思議1-03

起重機船七不思議1-04

起重機船七不思議1-05


引用元:袋鵜の豆本屋 | 大型起重機船 海翔



 フックの巻上に使用されているウインチがこちら



起重機船七不思議1-06

引用元:袋鵜の豆本屋 | 大型起重機船 海翔



 ウインチ能力は70t巻きだそうです。ワイヤーの長さは3,000m。

 1,025tフックを見ると
起重機船七不思議1-08

 よく見るとフックブロックに無数のワイヤーが通っています。

 フックブロックの中にはシーブと呼ばれる滑車が入っていて、ワイヤーはそこを通っています。
起重機船七不思議1-09

 重たいものを吊上げる2つ目の要素は
起重機船七不思議1-13

3.動滑車とは?



 ご存じの方も多いと思いますが、滑車とは何か?



滑車(かっしゃ)とは、中央に1本の軸を持つ自由回転可能な円盤(索輪)と、その円盤(索輪)を支持して他の物体に接続するための構造部とで構成される機構であり、円盤(索輪)外周部に接する棒状物または索状物の方向を案内する目的のほか、索状物の張力を他の物体に伝達したり 索状物へ張力を与える目的に用いる器具である。

ロープ、ケーブル、ベルト、あるいは鎖などの柔軟性を持った索状物を円盤の周囲にかけて使う場合には、円盤外周に沿って2つのフランジとその間に溝を設けて索状物が逸脱しないようにするのが一般的である。力の方向を変えたり、引張力を伝達するだけではなく、機械的倍率(英語版)を向上させるのにも多用されている。5種類ある単純機械の1つである。英語では複数の滑車を組み合わせた装置を "block and tackle" と呼ぶが、日本語では「滑車装置」あるいは「複滑車」「組み合わせ滑車」などと呼ぶ。

引用元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 滑車



 文章だけだと非常に分かりにくいですね。

 ”滑車”を発明したのは古代ギリシャ人のアルキメデスと言われています。なので今から2400年も前から地球上には滑車が存在していたことになる。

 ”滑車”の種類には”定滑車”、”動滑車”、”複滑車”があります。

 ”定滑車”とは?

 読んで字のごとく滑車の軸が固定されていて滑車が上下に動かないもの。

 物体の重量を100kgとすると持ち上げるのに必要な力は100kg。
起重機船七不思議1-14

 ”動滑車”とは?

 これまた読んで字のごとくですが、滑車自体が動くもの。

 100㎏の物体を持ち上げるのに必要な力は50㎏になります。
起重機船七不思議1-15

4.重たい物を吊上げているしくみ



 重たいものを吊上げる仕組みがわかったので、実際の起重機船で検証してみましょう。

 先ほども出てきましたが、日本最大の起重機船「海翔」のフックブロック画像。

起重機船七不思議1-16 

 シーブから出ているワイヤーの数を数えると

起重機船七不思議1-17


 前側で5本、真ん中はくちゃくちゃっとなっていてわかりませんが。

 なのでシーブは5個づつで10個使用されています。

 ということは、ウインチ能力が70t巻きだから

起重機船七不思議1-18


 1,025t に対して 1,400t。

 実際はフックブロックの重量とか摩擦による抵抗とかあるので大きな能力になっているのでしょう。

 動滑車は絶大な力を発揮してくれますが、世の中メリット、デメリットというものがあって動滑車にも欠点はあります。

 それは、物体を持ち上げる力が1/2になるかわりに引き上げるロープの長さが2倍になるというもの。

 先ほどの「海翔」だとシーブが10枚使用されているので

 持ち上げる力が1/20になるかわりに、引き上げるロープの長さは20倍になります。

 フックの動きが遅いのもこれが関係しています。ウインチ巻き上げ速度の1/20でしか動かないから。

ついでに、使用されているワイヤー長さも検証してみましょう。

 画像からエクセルの線で寸法を拾ってみました。

 船体長さ120mを基準にして、エクセルの線サイズに出てくる高さと幅からそれぞれ算出してます。

起重機船七不思議1-19

 ウインチ室からジブトップまでは 46m + 148m = 194m

 一般公開記事に記載されているウインチワイヤーの長さ3,000mから差し引くと 3,000m - 194m = 2,806m

フックを海面際まで巻き下げた時 124m×20 = 2,480m

 余裕は300m程。3,000mは長すぎだと思った方もいるかもしれませんが、滑車10枚使用しているのでそのくらい必要だという事です。


5.『Dr.STONE』に登場する滑車



 『週刊少年ジャンプ』(集英社)2017年14号より連載中、原作:稲垣理一郎、作画:Boichiによる漫画。

 アニメ化もされていて、2019年7月から12月まで第1期が放送され、第2期は2021年1月から3月まで放送された。続編の制作発表もされています。

 結構面白いです。アニメしか見てませんが。



起重機船七不思議1-20

起重機船七不思議1-21

引用元:Dr.STONE | story



 アニメの”第6話石の世界の二つの国”に動滑車が登場します。



起重機船七不思議1-22

引用元:Dr.STONE | 第6話石の世界の二つの国



 大木の下敷きになったコハクを助けるために、主人公の石神千空が動滑車を使用して大木を持ち上げます。

 大木の下敷きになっているコハク。



起重機船七不思議1-23

引用元:Dr.STONE | 第6話石の世界の二つの国



 滑車を使用して大木を持ち上げる。



起重機船七不思議1-24

引用元:Dr.STONE | 第6話石の世界の二つの国



 石神千空が組み立てた滑車はこんな感じ



起重機船七不思議1-25

引用元:Dr.STONE | 第6話石の世界の二つの国



 大木の重量は1トン。片側を持ち上げるだけなので半分の500㎏で持ち上がる。

 動滑車に動滑車を組み合わせているので、指数関数で持ち上げる力が増加します。

 ここでは滑車を3個使用しているので 2×2×2=8倍

 アニメの中では主人公 石神千空の体重は60数キロと言っていますが、大木の片側を持ち上げる力を500㎏とすると

 500㎏ ÷ 8 = 62.5kg となるので、62.5㎏以上は必要。

 アニメ『Dr.STONE』はABEMAで視聴できます。月額960円で見放題。



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